Web Magazine


Web マガジン

 
  ドライバーとの出会い

 インドに初めて入った時、まず一番に出会う人は誰だろうか? それはドライバーではないだろうか?

古びた田舎(チェンナイ当時マドラス)の空港に降り立ち、長い時間をかけて通関やイミグレを終えて、

見知らぬ世界に放り出させられるときほど、期待と不安が交差するときはめったにない。

そんな時、サインボードに自分の名前を見つけたときのうれしさはなんとも言えない、ほっとする。

そして、迎えに来てくれたドライバーが荷物に手をかけようとした時の不安感と安堵感の交錯。

言葉では言い表せないほどである。

 こうしてその後長年、付き合うことになるドライバーと知り合った。

 翌日、ホテルに迎えに来てくれたドライバーも昨夜の人と同じ顔であった。 

名前をマニーという。

 その日、インド側のパートナーからドライバー付きの車を回してくれた。

車は白のアンバッサダー、そしてドライバーは英語を少し理解できる程度の

タミリアン(タミール人)マニー君。  マニーとは鐘とか時間を言うそうである。

彼とはその後数年にわたり、公私共に日常生活を過ごすことになった。
 
 彼からは庶民の暮らしについて多くを教えてもらった。

今でもそのときの会話は覚えているほど新鮮なものであり、失敗も多かった。
  
その日から始まるインド生活は、度胸だけで英語を話す初心者の私と

英語のだめな ドライバー君との珍道中と言ってもよい。

言葉の理解力のほかに数十倍の想像力を働かせなくてはならないのが、

新鮮でもあり、不可思議なインドをかもし出すことになる。


いくつかその珍道中のお話も書いてみる。

インドへ来て初めて彼に頼んだことは、蚊取り線香を買いたいことだった。

仕事の帰り道、マニーにそれを頼んだ。彼が英語を知らなくとも英語で話すしか手立てがない。

モスキートコイルを買いたいといった。 彼は一寸間を置いてOKサーといって車の方向を変えた。

通じたとばかりに安心したが、行くと思っていたお店のある方向とは反対に寂しい方へ向っていく。

モスキートコイルのお店で間違いがないか、何度も確認したが、同じだけ「OKサー」の返事。

そして、街からも、メイン道路からも結構離れた寺院の前で車を止めた。

辺りは真っ暗。 夜だけにおまいりする人も、お店も何もない。

そこでどうしてここがモスキートコイルなのかを正した。

モスキートはイスラムのモスクをいう。  コイルはタミール語では寺院

つまり、こちらが要求したのは、イスラム教のモスクへ行けということだった。


次に一緒に赴任した日本人の方が注文したトイレットペーパー、

尻を拭くゼスチャーで彼を納得させたと自慢していたが、彼が女性用のナプキンを

買ってきたので、「これでどうやって拭くんだ」と怒鳴り散らしていたが、彼はキョトンと、、。

インドではトイレットペーパーは使わないのだから仕方ない。


缶きり:

日本から缶詰を持ってきた。たしかサバ缶だったと思うが。

よく朝、捨て置いた缶詰の缶を彼がみて、これは何だという。

食べ物であると言うことと、こうやって切り明けたことを教えた。

彼は感心して 口が開いてる缶の底をすべてきり開けてしまった。

よほど珍しかったのだろう。

彼との会話は当時最小限の単語で通じさせていた。

たとえば、通勤途中での車の中の会話

サー、サーカス カミンサー。  村にサーカスが来たと言う

フーン、それで?(日本語)

ヤングガールスタンディングサー。

ディスサイズナイフトローイングサー。

オー、デインジャラス! ガールOK?

ノーサー、ボディーインサイドゴーイングサアー。

こんな会話だが理解いただけたでしょうか?本当とも嘘とも思えないが

インドならあるんではないかと思ってしまう。

まだ次がある。

サーカス、メニーピープルワーキングサー。

バット、ビレジピープルノーゴイングサー。

ファーストデー、メニーピープルゴイングサー。

セカンドデイ ハーフサー。

アフターワンウイーク、スリーナンバーオンリーサー。

サーカスピープル、ノーフードサー。

ヤングガールオルソー?。

イエスサー、ノーイーティングサー。

また通勤途中に葬儀が行われていた。

彼はこの
葬儀の原因となる出来事を説明してくれた。

サー、イエスタデー ボーイデッドサー。

ホワット?

オールドレディー アンド ヤングボーイ エンジョイサー。
(この地方ではエンジョイは性交を示す)

オールドレディーハウス、ヤングボーイカミンサー。

オールドレディー、スリーナンバーベビーハビンサー。

ベビー、クライングサー、ベリービッグボイス クライイングサー

ツーナンバー ナイス エンジョイ サー、 ゼアーサプライズサー、

レディーサイド タイト カミンサー、ボーイ ノットカミング アウトサー。

メニーメニーブレッドサー。(血のことをブロードではなくブレッドといった)

ルーム ベリーダーティーサー。 ベビー、モークライングサー

ネクストモーニング ポリス、カミンサー。

ポリス、アフターチェッキング ドクター コーリングサー。

オールドガール、ハビングスリーベビーサー

ヤングボーイ、バチュラル サー

ポリス スピーキング サー

ガール、ベビー レスポンシブル サー。

ヤングボーイ、ノーレスポンシブル サー。

ポリス、ドクターサイド オーダーギビング サー。

ドクター、ポイソン プッティング サー。

ポイソン?

イエスサー、インジェクションサー。

ヤングボーイ クイック、デッドサー、

ツーナンバー ボデー リムービング サー。

チッ! ルーム ベリーダーティー サー。

彼の近所で起きた葬式の前を通過した際の会話であるが、

説明/解説抜きです。 

こんなやり取りがこの後も続きます。